国勢調査2025速報値から見えてきたこと
-地方都市・盛岡の鉄道・交通・街の未来を考える上で-

ひと

JR東日本コンサルタンツ
栗田 敏寿

 

冒頭に、令和八年熊本地震ならびに同年八月千葉豪雨でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、東京で日々生活していると人口減少のことなど一向に気にならないが、それはとんでもない錯覚である。
今年5月に発表された2025年国勢調査(速報値)では、日本の縮みゆく姿がまた一段とはっきりとしてきた。5年前に比べて総人口は309万人減り、その減少率は2.5%と拡大した。(因みに、2025年度の鉄道利用者数は234億人であり、コロナ前の2019年度と比べると23億人の減少、率にして8.9%減と人口の減少率よりも大きい)47都道府県のうち5年前調査と比べて人口が増加したのは東京都と沖縄県のみで、東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の人口は3,698万人、全人口の30.1%を占め初めて3割を突破した。人口減少が急速に進む日本で東京圏への集中がなお続いているように見えるが、よく見ると、東京都は特別区部だけが22万人の増加で、多摩地域は0.4%の減少、周辺3県では埼玉県0.8%・神奈川県0.5%・千葉県0.4%の減少が進んでいる。
次に市町村単位の人口増加トップ20と人口減少ワースト20を見てみる。
20の政令指定都市のうち、前者には6都市しか含まれていないが、後者には横浜市をはじめ9都市が含まれており、政令指定都市といえども人口減少の大きな波には抗えないようだ。しかし、トップ20の中身をよく見ると、埼玉県ではさいたま市・朝霞市、千葉県では流山市や印西市、神奈川県では海老名市や大和市など、都心へのアクセスや鉄道利便性の高い地域が多いことに気づく。しかも、単に「都心へのアクセス」だけではなく、相鉄線の都心直通乗入など「複数の鉄道路線を有する利便性」、「ネットワークの良さ」及び「駅周辺の開発状況」に加え、「住宅取得のし易さ」や「子育て環境の良さ」といった「付加価値」をつけることが、利用者(居住者)に選ばれる大きなポイントであることが窺える。
都心部とは異なり人口減少が著しい地方都市にとって、将来にわたり利用者(居住者)に選ばれる地域となるために、「鉄道・交通・街づくりとは?」を考えていくことは喫緊の課題である。
WSでは、「盛岡駅及びその周辺の鉄道・交通・街の未来」を今年から2年かけて議論していくことになっている。全国的に見て人口が大きく減少していく北東北にあって、その主要都市でありかつ新幹線駅のある盛岡市の未来をどのようにリデザインしていくのか、従来の制度設計には捉われない大胆な発想での取組みをメンバーの皆さんには期待したい。
今後の議論がとても楽しみである。

 

 

 

 

出典:各グラフは令和7年国勢調査の結果より抜粋   統計局ホームページ/令和7年国勢調査/調査の結果