ご挨拶

この度、2021年4月13日に開催された一般社団法人未来のまち・交通・鉄道の将来を構想するプラットフォーム(以下未来構想PFと略称)の第11回定時総会において山本前会長の後任として新会長に就任した林でございます。

私は1952年(昭和27年)生まれで1975年に日本国有鉄道に就職し、1987年にJR東日本に移籍、2013年から現在の鉄建建設に勤務しております。就職後46年間を鉄道インフラの建設・保守を担当してきました。趣味は登山とゴルフです。

前会長の山本様は国鉄時代からの大先輩で、卓越した先見力と構想力をお持ちで常に我々のリーダーとして様々な難局を切り開いてこられた方であります。

この未来構想PFは10年前に山本前会長が立ち上げたもので、その後任というのは大変荷が重いのですが、精一杯努めて参りますので何卒宜しくお願い致します。

ところで現下の日本の社会情勢は、コロナ禍における緊急事態宣言やテレワーク、商業、飲食業の営業自粛等の人流抑制施策のため、鉄道や航空等旅客運輸事業者や、ホテル、旅館等の観光業者そして飲食業者などが大変なダメージを受けております。いずれコロナワクチン接種の進展によりコロナ騒ぎも沈静化するものと思われますが、全くなくなるわけではなく、長い付き合いが続くものと思います。

今後の日本の未来を展望したとき、人口減少・少子高齢化社会、気候変動・災害の激甚化、SDGs・ゼロエミッション、ICT/DXの推進、働き方改革・ワーケーションなどの社会的な課題に加えて、最も深刻な影響を与えるであろうポストコロナ対応など、これまでに例を見ない極めて大きな時代の転換点に立っているものと思われます。

未来構想PFは若手鉄道技術者の技術継承・育成と産官学のメンバーによるインフォーマルな活動・交流を通じて未来のまちを構想しよういう目的のもと、2010年12月に設立し、これまでワークショップ形式の研修や調査研究、講演会、見学会など様々な活動を行ってきました。しかし、コロナ禍をはじめ様々な大きな変革が押し寄せてくる中にあって、未来のまち・交通・鉄道がどのような形で存在するのか、どのような役割を期待されているのかなど、今こそ構想力を膨らませてあるべき姿を議論し描いていく必要があります。

特に日本の大都市はTOD(Transit Oriented Development)により発展形成してきた経緯があり、今後のまちと交通のあり方に大きな変化が生ずるものと推察されます。一方、地方都市においては人口減少化においてコンパクトシティー化は不可避なものとして、どのようにまちと交通の再生を図っていくのか、やはり大きな問題であります。

このような状況にあって、未来構想PFとしてやるべきことは沢山あり、着実に一つ一つ検討を進めていきたいと考えています。

このような、私としてはコロナ禍での難しい船出となりましたが、関係の皆様におかれましては、なお一層のご支援のほど宜しくお願いいたします。

会長 林 康雄

2021年5月

今こそ未来を構想する活動を

「未来のまち・交通・鉄道を構想するプラットフォーム(略称:未来構想PF)」ホームページをご訪問頂きありがとうございます。

当法人は2010年秋に設立以来、若手鉄道技術者に先輩方の調査計画技術を継承していくこと及び将来ビジョンを構想することを目標に、実践的なワークショップを開催してきました。また毎月プラットフォーム通信を発行して、様々な情報や意見提言を提供する活動を行ってきました。私たちの活動は、小グループの手づくりによるささやかなものですが、講演会や見学会も少しづつ実施しています。

さて活動のポイントが二つあります。

まずは、未来のまち・交通・鉄道を構想することについて。
我が国が成熟社会となって成長が鈍化し、いま活動している現役世代の皆さんは、社会に出てからの大半を、失われた20年といわれる沈滞した時代を過ごすことになってしまいました。そして国の全総計画もなくなり、華々しく行われていた国や地方自治体の将来計画への取り組みもまた影を潜めています。未来を構想し計画するという技術は、長年の実践的な業務から身につくものですが、その学習する機会が失われていたことを意味します。国の将来を構想する意欲と、それを実行する技術がなければ何もできない道理です。なすべきことは多岐に亘りますが、私たちは交通計画を担ってきたエンジニアであり、まち・交通・鉄道を構想することに特化してやって行こうと考えています。

二つ目は、“非公式な(インフォーマルな)ワークショップについて。
かつては国や自治体が主導する様々な計画委員会があり、おびただしいレポートが生まれるとともに、若手技術者の研鑽の場となっていました。しかし現代は、IT技術の進展でネットによる情報交流が盛んになるのと反比例して、さまざまな制約の中で産官学の現役が集い研鑽に励む場を作るのが難しくなっています。企業活動においても、フォーマルな活動とインフォーマルな活動がバランスよく行われることで生き生きとした会社が生まれます。私たちは、インフォーマルなワークショップを計画することで、有為なエンジニアが個人の資格で参加できる機会をつくることを目指しています。

皆様のご支援を受けながら“未来を構想する”活動をサポートしていきたいと念じています。

代表 山本卓朗

2011年12月