設立趣意

我が国は半世紀にわたる大きな変化と困難を克服しながら社会資本整備を進めてきました。その反面、社会資本の充足感や身近な生活環境の高まりに加え、公共事業やそれを遂行してきたシステムへの批判などから、我が国にとって真に必要な社会資本プロジェクトを構想し議論する熱意が急速に低下しています。しかも、急速に進展する情報化・国際化に、高齢化と人口減少というかつて経験したことのない条件が加わり、社会資本整備のあり方を原点から見直す必要があります。

生活の基盤である交通・鉄道のあり方についても同様です。世界各国では環境意識の高まりの中、公共交通を中心としたまちづくりへの機運が大きくなっていますが、基幹的な新幹線や都市交通の整備が既になされている我が国においては、長期的な視点でのプロジェクト議論が停滞しています。加えてインターネットやメールなど、情報技術の進展によって交通に対するニーズも変化しており、将来を見通した技術の発展を予想しつつ、これからのまち・交通・鉄道を真剣に構想していく必要があります。

我が国におけるもう一つ深刻な問題は「第一線技術の空洞化」です。情報分野や素材分野から多くの新技術が生み出されていますが、一方で技術の過程がブラックボックス化し、アウトソーシングが過度に行われ、加えて若者の物つくり離れ・技術離れが進んでいます。特に経験の積み上げをベースとする工学分野では、既に現場技術が空洞化しつつあり、国際的に高いレベルを誇ってきた日本の技術が崩壊することが懸念されます。

以上のようなさまざまな課題を解決するため、官民・現職OBといった壁を越えて情報と技術の交流ができる場『プラットフォーム』を構築し、関係各界の有識者が自由に集まりワークショップを行うなど、将来のまち・交通・鉄道プロジェクトをめざして活発な議論を行うとともに、その実施を担うことができる第一線建設技術者の技術継承事業などを行います。

実施する主な事業

①未来のまち・交通・鉄道を構想する専門家による調査研究

② シンポジューム、フォーラム、講習会、見学会等の開催

③ 都市、交通、鉄道技術者育成に関する研修

④ 海外の交通事業やインフラ整備への理解を深める研修

⑤ 技術交流に関する情報発信

社団法人の構成

個人正会員と法人正会員で構成し、広く賛同者を募集いたします。