田中滋夫
未来構想PF 理事 ・都市デザイン代表
堤防設置と連動したまちづくりが進められた事例として石巻市旧北上川右岸堤防とこれに関連したまちづくり及び気仙沼市内湾地区での沿岸堤防設置とまちづくりの資料紹介です。
●石巻市旧北上川右岸地区
石巻市中心市街地は歴史的に旧北上川河港として発展してきた市街地をそのままの形で受け継いできたため、旧北上川は無堤防であった。これにより中心市街地に甚大な被害がもたらされた。旧北上川に面する中心市街地について、被災直後から地元での復興まちづくり協議会が形成され、行政との協議が積極的に進められた。ここを中心に、堤防位置、高さ、構造、これに伴って堤防地となる土地所有者の地権活用、生活再生の方策、中心市街地全体の活性化対策等の基幹方針がまとめられた。これにより堤防建築と復興まちづくりを一体的に進める体制が出来上がった。
<経過報告 日本建築学会 東日本大震災復興と減災まちづくり円卓会議資料 2013 年 12 月「石巻市中心市街地における復興まちづくりと市街地再開発」田中 滋夫>
<同上 PDF 講演資料 株 都市デザインホームページ (以下 抜粋資料)>
これにより、堤防地とあわせた再開発の方針がまとめられ、中央一丁目14 ・ 15 番地地区は市街地再開発事業が進められ、堤防予定地内の地権者をあわせた復興まちづくり事業としての再開発事業が堤防構造及び堤防面を占用活用するプロムナード整備のデザインの詳細化と一体で進められ、 2016 年に竣工、 2017 年に事業完了した。
<事業報告 市街地再開発 全国市街地再開発協会機関誌 )2018 年 10 月号 P2 P8 石巻市市街地整備課>
<PDF 資料 石巻市中央一丁目 14 ・ 15 番地区市街地再開発組合設立時説明資料 ㈱ 都市デザインホームページ (以下抜粋資料)>
●気仙沼市内湾地区の事例
気仙沼市内湾地区は、気仙沼市中心市街地の中核をなす地区であったが、無堤防であったことから甚大な被害を受けた。復興の過程で、沿岸堤防の高さ、構造について、県と地区の考えが長期にわたりまとまらなかったが、粘り強く協議を続けた結果、堤防構造と復興まちづくりの基幹施設を一体でデザインし相互をつなぐまちづくりにまとまり、昨年オープンし内湾地区のにぎわいの核としての役割を果たしつつある。これについては、土木学会に詳細にその経緯等が報告されている。
<気仙沼市内湾地区における 防潮堤の計画とデザインの合意形成プロセス 阿部俊彦 土木学会論文集 D1 (景観・デザイン vol.73 37 51 (2017) 1 >
<抜粋レポート 海・まち・いとなみの復興デザイン 阿部俊彦他 (添付資料>