ワクワク仕事してますか?

ひと

大成建設株式会社 常務執行役員

未来構想プラットフォーム 理事

金澤 博

今から20年ほど前、鉄道建設公団在職中の筆者は「つくばエクスプレス線」の工事担当部長を命ぜられました。当時、工事は着手されたばかりで難問山積です。その中でも、いかに地元協議を円滑に進めるかが最重要課題でした。

ある日、埼玉県内担当の課長補佐が地元協議の状況を私に報告してきました。彼は、「協議相手のA市B 課長に、『公団の人は実に楽しそうに仕事するねー』と感心されました」と、嬉しそうに報告を締めくくりました。協議は順調に進んでいます。地元行政側にとって、鉄道新線の建設はどちらかと言えば余計な仕事です。事業を進める側が情熱をもって丁寧に説明し続けなければ、地元の理解や協力は到底得られません。

B 課長の一言を引き出した補佐は素晴らしい技術者でした。一方で、鉄道建設が地元の利益になるように、補佐を褒めながら公団を上手に利用したB 課長も見事な手腕の持ち主と言えるのでしょう。

筆者は仕事を進めるときや問題解決に当たるとき、「よく眠れる選択肢は何か」、「どうすれば楽しいか」、「ワクワクするか」などを判断の分かれ目にしてきました。

企業や国家は、構成メンバーの年齢の若さが自慢になるのではなく、「よく眠れて健康な人」と「ワクワク仕事する人」がどれほどいるかで勝負が決まるのではないか、と思います。言い換えれば、メンバーの健康を保ち、その人たちにワクワクした仕事を提供することが企業(社会)活動として最も重要であり、生き残るカギを握るのだと思います。

内閣府の統計資料によると、65歳以上の高齢者は2012年に過去最高の3000万人を突破しました。総人口比24%、およそ4人に一人です。それが、およそ20年後の2035年には、3人に一人になるまで増え続けると予想しています。ごく近い将来の我が国は、世界が経験したことのない超高齢社会に否応なく突入します。子育て、教育、雇用、医療、年金、街づくりなど、あらゆる施策が高齢化を念頭において実施されなければなりません。

団塊世代の真ん中で、3人の孫を授かっている筆者は、ささやかな覚悟を持とうと思います。上の2人は7歳と5歳の男の子。下は1歳の女の子。驚くほど活発です。まずは、孫たちと鬼ごっこ、キャッチボール、サッカーができるように身体を鍛えておくこと。次に、国語、算数、英会話など、彼らの成長に合わせて学び直すこと。第三に、小旅行やイベント(この夏は、ジジババ孫で、旭山(動物園))など、彼らがワクワクする時間や場を与えることができるように(実は自分が楽しむために)、少しばかりの蓄えを持ち続けること。

急激に成長していく孫たちを利用しながら、自分ができることを楽しくやっていけば何とかなるわい、と楽観しています。