産学官から産学官“民”の時代へ

ひと

一般社団法人 未来のまち・交通・鉄道を構想するプラットフォーム 会長

NPO法人 シビルNPO連携プラットフォーム(CNCP) 代表理事

山本 卓朗

社団法人の未来構想PF も設立から4年経ちましたが、その間にいわゆる「サードセクター」を巡る動きはどんどん加速しているように思われます。サードセクターとは何か、定義の仕方はいろいろあるようですが、政府系、企業系のセクターと並ぶ第3のセクター全般を指すと言っていいでしょう。その幅は広く社団・財団法人、社会福祉や医療法人、地域の自治会や協同組合も含まれますが、何と言っても注目は特定非営利活動法人(NPO 法人)の今後にあると思っています。土木学会はこの秋に100周年を迎え様々な事業を行っていますが、その一つとして、数多ある建設系NPO の連携と支援をはかる中間支援組織としてのNPO 法人「シビルNPO 連携プラットフォーム」の設立をめざしてきました。そして8月1日にNPO 法人としての認証を得て土木学会から独立して活動を本格化しています。我が国の社会資本整備は、官の強い指導力のもとに産学官のトライアングルで着実に進められてきましたが、急速な社会の変化のなかで社会資本整備の進め方や生活環境への取り組みも多様化し、市民との合意形成が重要な課題になっています。「新しい公共」とか「共助社会」と言われる活発な議論はその中心であり、とくに地方創生が言われるように地方行政に民が直接的に関わる流れは必須となってきました。注目して見ていますと全国で様々な官民協働事業が動いています。しかし医療・福祉系に比べて、産学官体制がしっかりしていた建設系のサードセクターの動きはまだまだ小さく、諸外国と比べても極めて弱小です。このことはPFI/PPP の国内事例を見てもよく判りますが、今後、地方のインフラの維持更新などについてサードセクターとの協働なしに進めることは、ほとんど不可能ではないかと感じています。ごく最近のことですが、都下のある市から、更新問題についての有識者会議にNPO 法人として参加を求められるなどの動きが出てきました。

さてこのように書いてきましたが、私自身NPO 活動には関わってこなかったので、いまだにサードセクターの議論(事例が少ないのであるべき論に走るきらいがある)についていけないこともあるいうのが本音です。そして建設系の新しい“民”の活動を具体化することの難しさも実感しています。新しい“民”がどうして必要か、難しく考えるのはやめにして私なりに述べてみましょう。

社会的な背景としては、いわゆる高齢者比率が3割にも届くであろう超高齢化社会の到来が一番の課題と思います。経験豊かで元気なシニアの活動の場を広げるべきという議論にどなたも異論はないでしょう。しかし生涯現役と言えるほど頑張れる方も多くないし、それだけの収入を保証することも難しい。一方では、そういう人材が欲しいけれど、同一組織で勤務形態を工夫して現役の皆さんと協働体制を作っていくこともそれほど簡単なことではない・・・このような状況を打破していく切り口として、新しい“民”が注目されていると思っています。私の関係している二つのプラットフォームもまたその一つ。
まだ序の口でありますが、元気なシニアの皆さんとともに活動していきたいと念じています。