「地域づくり」に目を向けませんか

まち

シビルNPO連携プラットフォーム
代表理事 山本 卓朗

このところ急速に変化している時代であることを強く感じています。変化しているのは、気候変動と巨大災害やデジタル技術とChatGPTなど様々ですが、今一番の関心事は次の2点です。
その一つは我が国の人口減少がはっきりとわかる形で社会に大きな影響を及ぼしてきたことです。昨年度の人口減少は86万人で、毎年、山梨県がひとつずつ消滅する、人口1万人以下の町村が100カ所も消滅する規模と例えれば、いかに深刻かがわかります。勿論都会も田舎も平均して減っていくなら、それほど深刻にはならないでしょうが、東京がダントツに増え続け、今や地方中核都市も軒並み減少していく人口配置のアンバランスは、あらゆる社会的課題を生み出している元凶というと言い過ぎでしょうか。
東京一極集中を是正しようという努力は、長年にわたって続けられてきましたが、その政策は、産業を誘致して居住人口を増やすことが中心でした。しかし現在の潮流は、自治体、住民団体、地域企業が連携しデジタル技術も活用して交流人口・関係人口を増やし、地域の活性化・地域づくりにつなげる形が模索されています。シャッター通りと化した商店街の再生プロジェクトも盛んになってきました。居住人口が減っても地域の活性化は図れるということを実績で示す動きです。一言で言えば,地域づくりのパラダイムシフトです。
もう一つの関心事がコロナ以降の鉄道・交通事業の構造変化です。
元々我が国のテレワークの実施率は欧米に比べてかなり低く、コロナ以前は10程度でした。それが内閣府の資料ではコロナ後に30にあがってきました。これでも欧米に追いつきませんが、鉄道輸送量を10減少させる影響力を持っています。JR各社では、大手民鉄並みに不動産事業や事業開発部門を強化して、鉄道事業の減少を補うべく懸命に努力していますが、収入の骨格である通勤・幹線輸送の減少という新しい事態に対して、もう一歩進んだ構想が必要ではと考えます。すなわち、全国の鉄道・交通事業者が町村レベルを含めて「地域づくり」に積極的に参画することで、鉄道・交通事業のパラダイムシフト都市計画・地域計画と一体となった交通事業のこれからを構築するをめざそうというのはどうでしょうか。
最後に「地域づくり」に関して私のNPOの資料を加えて恐縮ですが、参考文献を紹介しておきます。
●シビルNPO連携プラットフォームHP検索「適疎な地域づくりとは」
●「関係人口の社会学」
田中輝美著大阪大学出版会
~住む人が減ったら地域は再生できないのか?~