「合点がいきました!」
新年おめでとうございます。長引くコロナ禍、運動不足を気にしつつも、テレビや読書の時間がどうしても増えます。何気なく画面や文章を見ていると、時に妙に合点がいくモノに出くわすことがありますどうか正月気分でご笑読ください。
昨年暮れのNHKの科学番組で、「なぜ人間女性は他の動物メスに比べ、出産可能年齢後の寿命が極端に長いのか」という疑問が取り上げられました。結論から言えば、子育ての手伝いとそのやりがいこそが原因のようで、これが「お婆さん」に精神的、肉体的に好影響を与え、長い年月を経て寿命を延ばしたとのこと。このウソのような本当の話に、昨年のベストセラー『80歳の壁』にある「お婆さん」の本音-老後こそ自分のしたいことをしたいを最近の我が家に重ねてみました。70歳を過ぎた女房は、孫娘と婆さん仲間との付き合い真っ盛り。これまで苦労を重ねてきた私へのサービス向上の期待は、ほとんど裏切られてきました。しかし上述の進化論から見ると、それが当然であることに、合点がいきました。
理事・副会長
斉藤 親
「2023年は『体験』を楽しみたい」
夢のある未来を構想するために、今年は「体験」を楽しみたいと思います。「経験」ではなく「体験」としたのは、現実社会でのリアルな見聞にフォーカスしたいという意味です。コロナ禍の3年間、私たちは、リモート会議やウエブセミナーなどバーチャルな経験を多く蓄積してきました。しかしその結果、身体の五感を通じて現実社会を感じる機会が減少し、頭の中で思考することに偏る日々を過ごしてきたのではないでしょうか?
私たちが目指すべき未来は、人と人が相互に交流し、高め合えるプラットフォームが連なっている社会です。交流の舞台となる公共空間や公共交通は人々に体験されてこそ価値を発揮します。優れた交流の舞台をつくる者は「体験」と「思考」をバランスよく備えることが必要でしょう。3年間の偏った経験をリ・バランスするためにも、今年は積極的に地方や海外を訪問して多彩な人々と交流し、異なる文化を体感することを重視したいと思います。
理事
大松 敦
「鉄道と都市の構造改革元年」
新年明けましておめでとうございます。
昨年は本州のJRが輸送量の少ない線区の経営状況を公表し、地方部をはじめ議論が始まりました。都市側がどう受け止め、どう対応するかが要点ですが、今後の議論に際し、社会的に望ましい姿にする観点からは鉄道と都市に関するパラダイムシフトが必要となります。
皆さんは、デパートでエスカレーターESやエレベーターEVを使ったことがあると思います。ここで質問です。運賃を払ったことがありますかないと思いますが、考えてみれば変ではないでしょうか。実際の都市は水平に広がりますが、デパートは垂直に広がる都市と見なせます。ESやEVは、公共交通機関に相当します。では、何故無料なのでしょうか。もし、有料だったら、客足は減り、来た客も上下階を自由に移動しなくなるため売り上げが減り、デパートの経営自体が破綻するでしょう。ESやEVの経費は、デパート都市が必要な投資として賄っています。しかも、いつも動いています。経費節減のため1時間に一回しか動かさないということもしていません。
鉄道は都市に影響を与えうる社会資本であり、移動しやすい利便性を事業経営では提供できない非商業領域においては、運賃収支ではなく、都市収支の観点での判断が必要となります。この考え方は日本では普及していませんが富山市に事例があり、欧州では一般的と言えます。日本の鉄道は大きな分岐点にあります。今年は、鉄道に関わる皆様にとって、国の将来にも関わる地方都市の持続可能性の観点も踏まえた、都市との役割分担も含めた構造改革に取り組む元年になることを祈念し、年頭の挨拶とします。
理事
金山 洋一
「『次の平常時』へ」
明けましておめでとうございます。
COVID19登場から3年、まだ完全に決着していませんが、社会全体としては「3年前の平常時」に戻ろうという雰囲気が漂ってきました。ただ「3年前の平常時」は今も「平常時」なのでしょうか?
100年前の1923年、関東大震災で東京が焼け野原になりました。当時の全国人口は現在の半分程度、一都三県は800万人にも達していません。震災復興で将来の都市像を描くとはいえ「100年先の平常時」を読み切れないのは仕方がないと思います。
一方、30年前の1993年、Jリーグが誕生し我々は「ドーハの悲劇」を経験しましたが、昨年は「ドーハの歓喜」を目にしました。30年間「高い志」を持ってことに臨めば何かを変えられる。新しい世界、新しい変化の流れを感じた人も多いように思います。
2023年、「現在の平常時」の先にある「次の平常時」を「高い志」を持って探しだしたいものです。
理事
岸井 隆幸
「これからの鉄道の在り方に向けた議論を」
新年あけましておめでとうございます。
昨年は、鉄道150周年記念事業が開催され、「鉄道」が社会・経済・歴史・文化に果たしてきた功績が再評価・再認識され、次の150年に繋いでいくべき決意が鉄道関係者間で共有化された意義深い一年でした。
国鉄改革から35年が経過し、「鉄道の未来を拓くために」で謳われた以上の業績を残してきたJR各社ですが、人口減少・少子高齢化の進展、都市部と地方都市との格差拡大など、この間の世の中の変化は著しく、特に、新型コロナ禍・ロシアのウクライナ侵攻による鉄道を取り巻く環境は、国鉄改革時に議論された社会経済環境の枠組みとは大きく異なってきました。通勤輸送量の大幅な減少、その完全回復が見込めないという厳しい現実、内部補助が効かなくなった地方交通線の維持問題などが顕在化しました。
一方で、鉄道は、環境面、エネルギー効率面、細長い国土に線上に点在する都市構造などを考えると、今後の日本においても極めて有益な交通手段だということは疑いの余地がありません。
大きく変動する時代の今、ある意味転換期を迎えたこれからの鉄道の在り方を考える際、「人流・物流」、「地域と鉄道を含む交通の在り方地域経営と交通)」という視点からの議論が必要だと感じていますが、国土全体の鉄道ネットワークの在り方として、国レベルでも議論の俎上にのりはじめた「国防」という観点からの議論の行方も気になるところです。
昨年の大河ドラマは武家政権の礎をつくった二代執権北条義時を中心に好評でしたが、今年は戦国の世を終わらせ260年余りの太平の世を創った徳川家康が主人公です。
「どうする家康」ならぬ「どうする鉄道(鉄路)」として、未来構想PFで活躍されている若い会員の方々には、次の100年、150年に繋がる有意義な議論と提言を期待しています。
理事
栗田 敏寿
「人中心の駅前空間を想う」
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昨年末、新宿三丁目付近の明治通りをバイバスする環状5の1号線が供用しました。戦後、戦災復興計画として都市計画決定されたたものの、新宿御苑を通過することから、計画の見直しに時間がかかり、東京都など関係者のご努力により、ようやく完成したものです。同時に都決された池袋駅前の明治通りをバイバスする環状5の1号線も、当初計画にトンネルが追加され、近く供用します。戦後直ぐに大規模ターミナル付近から通過交通を排除し、歩行者優先することが可能な計画が作られたことは、驚きであり、貴重な財産です。
この計画を生かすべく、国土交通省勤務時に、両区間の事業化に当たり、地元区に駅前から自家用車を可能な限り排除することを提案し、この方向で検討が進められています。このような計画が各地で進むことを年初に期待するものです。
理事
廣瀬 隆正
「新年の始まりに思う」
皆様新年明けましておめでとう御座います。
昨年は、武漢コロナ蔓延に加え、ロシアのウクライナ進行と言う思いがけない事態が起こり、世界の見え方が大きく変化した年に成ったと思います。
防衛予算をGDP比1を突破しようと言うとき、あれだけ騒いでいた方々が一向に大人しいのには驚かされました。
なんと倍返しの2%とは。
それだけ、天から只で降ってきていると思われた安全が、核保有国で国連常任理事国であれば、意とも簡単に踏みにじれることを身につまされて感じた年に成ったのではないでしょうか。
しかし、財政均衡主義に染まった人々には、が先で、どれほどあれば抑止力に成り、具体的にどう戦って国民の安全をまもると言った肝心の議論は殆どされていないと思うのは私だけでしょうか。
いづれにしましても、持ち場、持ち場でしっかりと、日本を元気する取り組みを一人一人が進めることが大切なのだと思います。
会員の皆様の益々の御発展御活躍を御祈念申し上げます。
理事
村尾 公一
「2023年を迎えて」
新年おめでとうございます。令和も早や5年目に入りコロナも感染拡大の始まりからまる3年、影響も徐々に沈静化して行く事と思いますが、所謂ポスト・コロナの状況も姿を見せつつあり、鉄道を始めとした旅客輸送量はコロナ以前と同水準までには戻らない事が確実視されています。
そのような中ではありますが、昨年は西九州新幹線の一部開業など明るい話題もありました。またコロナの思わぬ副産物として大都市圏の鉄道における通勤混雑が緩和されたこと、今年には宇都宮のLRTも開業を迎えることなど、社会の激変のさなかにあってもまち・交通・鉄道のかたちや課題は進化し続けていると感じます。
今年は昨年から再開した調査研究ワークショップを継続して推進するほか、久々の見学会の開催など、事務局としても当会の活動を盛り上げていきたいと思います。引き続きの皆さまのご協力、ご支援をお願いしつつ、新年のご挨拶とさせていただきます。
理事・事務局長
大口 豊
本年も未来構想PFをよろしくお願い申し上げます