ポストオリンピックを見通して

まち

(社)未来のまち・交通・鉄道を構想するプラットフォーム 会長

山本 卓朗

明けましておめでとうございます。

年が明けて2020 年のオリンピック・パラリンピック東京開催に向けた関連プロジェクトも計画の具体化がさらに進み、一段と忙しさが増してきたと思います。50 年前に比べて東京の都市施設は、交通関連をはじめとして飛躍的に整備されているとはいえ、開催システムにさらなる先進的な技術の導入が図られるなど、やはり膨大な投資を伴うことは避けられないでしょう。その投資が未来に向けた都市環境整備に大いに役立ち、我が国の発展につながることを期待したいと思います。

新年にあたり、少し未来のことを考えつつ仕事にかかりたいと思います。

言うまでもないことですが、鉄道の整備、特に大都市でのプロジェクトは、構想から実現までの懐妊期間が大変長いので、目先のプロジェクトの遂行に追われつつも、20 年30 年先の将来ビジョンを構想し議論を重ねていく努力が大変重要であると考えています。「未来構想PF」は、文字通り“未来志向”ですから、今の私の視点はポストオリンピックにあります。昨年、若手エンジニアの方々と、“将来の鉄道ビジョン”を考えるワークショップを行いました。ビジョンはあくまでビジョンであって正しい答えが決まっているわけではない、これは当然のことです。ではビジョンを考えるとき何が大切なのか。
私は世の中の趨勢や世界の動向を広く俯瞰して、その基盤に立って未来を考える、その中からある方向を見出していくことであると考えています。未来構想PFは“未来のまち・交通・鉄道を構想するプラットフォーム”という長たらしい名前ですが、鉄道を考える前に、まずまちを考えよう、次にそのまちの交通を考えよう、最後にその交通の中で鉄道の役割を考えようという意味を込めています。そういう感覚で考えていますと、“マイカーが自動運転になってきたときの鉄道の役割は何か”という議論が出てきます。

昨年目についた報道や記事の中に、世界都市ランキングで4 位である東京の国際都市競争力をいかに向上するかというテーマがありました。ロンドンがオリンピックの時点では第2 位でしたが、トップのニューヨークを抜いていまだ1 位を維持している、さて東京はどうなるか、という視点で議論することは日本や東京の課題を世界レベルで考えるうえでとても大事なことだと思います。

オリンピックは一過性の線香花火ではなく、ポストオリンピックの日本を豊かな社会にするために、未来を真剣に考える年にしたいと思っています。