未来を予測する

ひと

一般社団法人 未来構想PF 会長

NPO 法人 シビルNPO 連携PF 代表理事

山本 卓朗

2014 年に土木学会が創立100 周年を迎えましたが、鉄道界においても開業100 年を迎える路線や駅が花盛りで、山手線、東京駅そして全国の私鉄で華やかな記念行事が行われました。明治維新以降、あらゆる分野で欧米からの技術導入を急ぎ、急速な国力の増強に邁進した時代から100 年、その歴史を振り返りこれからの100 年を考える素晴らしい機会となったと思います。

土木学会では100 周年記念行事の重要な企画として「社会と土木の100 年ビジョン」の作成に取り組みました。100 年の歴史を振り返り、これからの100 年を考える作業は膨大であり、多くの識者による真摯な議論を重ねるとともに、全国で若手技術者のワークショップを展開するなどしてまとめたレポートは、これからの土木界の向かうべき方向をしっかりと示していると考えます。

さて将来プロジェクトを構想することを仕事としてきた私たちは、その過程で未来の生活や技術を予測するという場面に必ずぶつかるわけですが、決まったマニュアルがあるわけではないので、客観的なデータとメンバーの議論そして知恵を積み上げて、答らしきものを見出していくしかありません。ウェブサイトを見ていたら未来予測というキーワードでたくさん出ていましたので、幾つか拾ってみたいと思います。

日経新聞電子版に2050 年予測をどうやって解析するのかという記事が載っていました。どの項目を予測の対象とするかを選ぶ尺度は“推計が確実かどうか”と“どれくらい重要か”の二つで、その両方を満たすのが人口推計であると。人口推計にはあまりブレがなく、それをもとに世界各国の経済規模などをかなり正確に見通せます、と説明しています。

20 世紀の終盤になって急速に進展した情報通信技術の行方を予測することも極めて重要です。グーグル会長エリック・シュミット氏の著作「第5 の権力―Google には見えてくる未来」の序章が概説されています。それによると、「グーグル、フェイスブック、アマゾン、アップルなどの最先端の技術プラットフォームは、世の中の人たちが思っている以上に強力で、それらがさまざまな社会に普及し、成功を収めるうちに、世界が根底から変わること確信している」と述べています。

さまざまなシンクタンクがデータを駆使して予測値を公表していますから大いに参考にしたいと思いますが、人口推計にせよ経済推計にせよ、レポートの目的によって微妙に予測が違ってくるので、読むほうも心して判断する必要があります。長い間右肩下がりの時代が続きましたからこの辺で、活力を生み出す予測をしてみたいものです。