国鉄五方面作戦プロジェクトのまとめ

ワークショップ
ワークショップ概要

建設コンサルタンツ協会は、戦後のインフラ整備事業の代表的な事例に直接、間接かかわった人からその経験や見聞を講演してもらい、それを記録することでインフラ整備の意義や携わった人々の偉業を広く社会に伝えることを目的に、各種の事業から100プロジェクトを選び、「インフラ整備70年」と銘打った連続講演会を開いている。

 

第1回(2018.09) 未踏の秘境黒部に築造した水力発電ダム~黒部川第四発電所~

第2回(2018.10) 東京都心の大発展を導いた地下鉄丸ノ内線

第3回(2018.11) 大阪と京都の都心部での鉄道延伸事業

第4回(2018.12) 首都高中央環状線47㎞の整備の歴史~高架から地下へ~

第5回(2019.01) 渡良瀬遊水地物語~治水、環境改善、公園化~

第6回(2019.02) 五方面作戦(首都圏通勤鉄道改善プロジェクト)

第7回(2019.03) リアス海岸での永年の大事業、三陸海岸の命の道国道45号線

 大津波による分断と復旧、新たな三陸道の併設

第8回(2019.04) 不毛の大地を甦らせた鹿島港の開発

第9回(2019.05) 名神高速道路の建設~日本初の高速道路の建設への挑戦~

 

五方面作戦プロジェクトは60年以上前に企画実施されたものであるため、講演会に先立ち当プロジェクトに深く関わってきた未来構想PF山本会長指導のもと、未来構想PF内にワークショップを立ち上げ、とりまとめを行った。

講演会

<講演概要>

講演テーマ:五方面作戦 ~今日の首都圏都市鉄道の基盤を築いた

国鉄による空前絶後の通勤鉄道改善プロジェクト~

講 演 者:山本 卓朗(元日本国有鉄道)

家田 仁 (政策研究大学院大学)

正能 俊輔(JR東日本)

コメンテーター:岡田 宏 (元日本国有鉄道技師長)

日   時:2019年2月28日(木)17:30~19:30

場   所:政策研究大学院大学 想海樓(そうかいろう)ホール

参 加 者:約300名

 

<講演プログラム>

1.五方面作戦はどのように生み出され

どのように実現したか?

2.五方面作戦を実現した技術的努力と

五方面作戦の精神

3.五方面作戦は何をもたらしたのか?

そしてそこから何を学ぶか?

4.総合コメント

 

<内容>

戦後の高度経済成長により、産業機能は大都市に集中し、東京圏の人口は急増傾向にあった。これに伴い、郊外から東京都心への通勤・通学者が急増し、通勤輸送の混雑が益々激化する状況にあった。

そこで、混雑緩和と輸送の安全を確保するため、東海道線・中央線・東北線・常磐線・総武線の五方面を中心とした通勤輸送改善計画(通称「五方面作戦」)が策定され、昭和40年に開始された。着手から約16年の年月を経て、昭和55年に完成し、増大する通勤輸送需要に対応し、輸送力を大幅に増強するとともに、サービスの改善を図り、東京圏の通勤輸送の確保という社会的要請に応えた。

本講演では、元日本国有鉄道・現政策研究大学院大学の家田仁教授の司会のもと、元日本国有鉄道の山本卓朗氏に「五方面作戦」にとりかかった理由や事業化に至った経緯・評価等について、JR東日本の正能俊輔氏に「五方面作戦」を支えた技術および「五方面作戦」のDNAについて講演いただき、元日本国有鉄道の岡田宏氏よりコメントいただいた。