未来構想PF理事・事務局長
大口 豊
ダイヤ改正からJR中央線のグリーン車サービスが始まり、ご利用も日毎に増えているようですが、気になるネット報道がありました。曰く「グリーン券無しの乗客が沢山いる」「赤ランプの乗客に下車を強要するオジサンがいる」等ですが、ヘビーユーザーの私の見る限り、殆どのお客様がSuicaでの事前購入を済ませており、たまの赤ランプでも紙の券をお持ちか急ぎで車内料金覚悟等の方で、検札時のトラブルも見た事がありません。「コタツ記事」の典型例と得心した次第です。
閑話休題、SNS等の情報ツールの発達は良いのですが、半面こうしたガセネタやエビデンスの無い情報、言い換えればツールにリテラシーが追いつかない状況が、まちづくりやインフラ整備のコンセンサスづくりにおいても、全体最適と個別の事情や利益との乖離を悪化させていることはないでしょうか。
例えば昨今、北陸新幹線における敦賀以西の整備ルートについて好き勝手な意見を取り上げる報道を散見します。関係法令の理念と手続きに則り、国土の全体最適を見据えた上で所定の手続きを踏んで形成されてきたプロセスを蔑ろにするかのような一部の風潮には、少々危惧を覚えるところです。
私の携わる再生可能エネルギー界でも全体最適と個別の事情の乖離を激しく感じているところです。脱炭素や脱原発も背景に進む再エネ電気の導入ですが、政策的な買電価格が年々引き下げられる一方で、建設費の高騰、建設適地の枯渇に加え、盛土規制法など規制の強化、数々の誤解も含んだ反対運動の頻発等、事業環境は悪化の最中で、連休中に起きた死亡事故の対策も気にかかるところです。将来の希望とされる洋上風力でも、某商社が多額の評価損を計上し事業計画の見直しに入るなど、順調とは言えません。
人口減少や経済力の低下、世界的な自国優先主義等、我が国を取り巻く環境は激変の中にありますが、高いリテラシーを持ったプラットフォームの活動が、未来のまち・交通・鉄道に関するコンセンサスづくりの面からもさらに貢献して行ければと考えています。