(独)鉄道・運輸機構理事長代理
平野 邦彦
鉄道開業150周年にあたる昨年9月、西九州新幹(67㎞)、本年3月相鉄・東急直通線(10㎞)が、10年の工事期間を経て開業し、地元・鉄道事業者の方々と歓喜の渦の中にいました。そして、いよいよ北陸新幹線(125㎞)が来年3月開業します。
西九州新幹線開業式典
相鉄・東急直通線開業
(独)鉄道・運輸機構にとって、このような大型のプロジェクトの完成と本年10月には、発足20周年を迎え、正に、大きな節目の年になります。唯一の公的な鉄道技術集団である、機構のパーパス存在意義を再認識し、大きく変化する取り巻く課題へ、的確かつ迅速に対応するために、以下、大きく2つの機能強化が求められるのではないかと考えています。
(1)鉄道技術プラットフォーム機能の構築
鉄道建設の用地、土木、軌道、設備といった要素技術のすべてをワン・パッケージで有する公的な技術集団として、鉄道総研、JR、民鉄、ゼネコンなどと広くアライアンスを築き、鉄道技術のコアとなるプラットフォームを構築し、鉄道技術を共有・維持発展させていきたい。
シールドマシンを使用したSENS(センス)工法
現在、人事交流の一環として、JR・民鉄・鉄道総研等から、実に80名の方々が、機構のプロジェクトに直接参加していただいています。
また、頻発する自然災害に対して本年度より新しく『鉄道災害調査隊』を組織化し、鉄道版TECFORCEを目指し、既に地方鉄道の復旧支援に取り組んでいます。
大井川鉄道の調査
(2)鉄道シンクタンク機能の構築
鉄道整備の調査や事業評価などの面だけでなく、鉄道ネットワークの構築や鉄道整備推進を図るという観点で、都市鉄道利便増進法(相鉄・東急直通線適用)といった新しい整備(財源)の枠組みの策定や計画策定の支援を行っていきたい。
そのためには、調査機能の充実、学経や外部調査機関との連携を更に行うと共に、都市計画・地域交通計画との一体化を図る必要があると考えています。
新しい試みとして、地方鉄道の再構築への支援や、新駅建設だけでなく「駅まち」空間を自治体と協働して計画策定していくことなどを行っていきたい。
(URとは、駅まち勉強会を立ち上げ、検討開始しております)
このような取組を深度化して、鉄道の未来構想の一翼を担う組織として、海外鉄道事業も含め、活動の場を広げ、鉄道インフラネットワークの整備、維持に貢献していきたいと考えてます。
また、今年から、未来構想PF・WSに参加させていただきます。
引き続き、皆様のご理解・ご支援よろしくお願い申しあげます。