プラットフォーム通信100号発刊を記念して

ひと

未来構想PF会長
林康雄

 

プラットフォーム通信100号の発刊、まことにおめでとうございます。
このプラットフォーム通信第1号は2013年12月号に発刊され、その後、世の中的には東日本大震災からの復興やアベノミクス、コロナによるパンデミック、オリンピック・パラリンピック、ロシアによるウクライナ侵攻等様々な事象がありましたが、本年3月号をもって100号となりました。
最近ある人のすすめで野口悠紀雄氏著作の「リモート経済の衝撃」を読みました。コロナ禍によって引き起こされた日常生活の変化が一時的なものではなく、在宅勤務、テレビ会議、オンライン医療、オンライン教育等により今後の日本人のライフスタイルに様々な面で大きな変化が出てくるというものです。特に交通産業のダメージは相当なものであり、通勤・通学、ビジネス需要に顕著な減少傾向が残るものと思われます。鉄道事業者の大方の幹部は「需要は元には戻らない。戻っても8~9割程度。」という認識を持っており、鉄道事業においては損益分岐点を下げる必要が不可避であります。
コロナ禍による生活スタイルの変化の他に、SDGs、サステナビリティ、CO₂ゼロエミッション、少子高齢人口減少社会等社会環境の変化も大きく、10年後の2030年、30年後の2050年を見据えた対応をする必要があります。
まさに我々は大きな時代の変化点に立っていると言えます。
このような状況のもと、未来構想PFとしてどのような認識でどのような活動をしていけば良いのでしょうか。私の私見を申し上げると、今後の「鉄道と街づくり」については、昭和63年制定の多極分散型国土形成促進法における業務核都市を中心とした、諸機能がバランス良く配置された自立性の高い分散型ネットワーク構造の街づくりを目指すべきであると思います。
これをJR東日本管内の東京圏における駅周辺開発でいうと、東京区部における開発は現在進行中の渋谷、品川、新宿と池袋程度で抑えておき、東京から30分~60分離れた、横浜、大宮、立川・八王子、千葉などの開発を充実させる必要があると思います。
また、このことは今後30年の発生確率が80といわれている首都直下地震に対するリスク分散にもなります。
地方においてはコンパクトシティ、東京においては自立分散型ネットワークシティへの転換が今後のキーワードとなるのではないかと思います。未来構想PFは今後の「鉄道と街づくり」について一層の議論を深めるとともに若手技術者の育成に努めていく所存であります。
皆さんのご支援とご指導を宜しくお願い致します。