「認知症特効薬への期待」
今年は、団塊の世代1947~49生まれが後期高齢者となり、高齢国家の先頭を走る我が国が、いよいよ超高齢時代を迎える。年始から死の話で恐縮だが、養老孟司氏は、雑誌Newtonの中で、仏哲学者の死の分類「一~三人称の死」を引用し、身近なものに大きな影響を与える二人称の死を重視するとした。因みに、一人称は本人、三人称はその他である。
一方で、その死に先立ち、認知症の増大も大いに危惧されている。この認知症については、日頃より「死の最も重要な意味は、人生の足跡・思い出の共有者を失うこと」としている私の思いを重ねれば、『二人称の死に匹敵する悲しむべき出来事』となるのである。
コロナ禍、その特効薬が叫ばれ、期待されている。悲惨な死者、重傷者を見た我々としては当然の事であるが、同様に事実上の「(二人称の死と同等な認知症」への特効薬の早期誕生にも、大いに期待したい新年である。
理事・副会長 斉藤親
「準備された心」
Chance favors the prepared mindという言葉があります。日本語では「チャンスは準備された心に降り立つ」、「幸運は準備された心に宿る」などと訳されています。「準備された心」についてはいろいろな解釈が成り立ちそうですが、私は「ワクワクすることについて、自分で感じて、自分で考え、そのこと自体が意識されなくなること」と考えています。初めに五感で感じることがポイントです。最近では私たち人間の身体も、脳が中央で制御しているわけではなく、身体全体で分散処理していると言われています。すなわち身体中の五感全てが相互に情報交換をしつつ、適切な生理現象が選択されているようです。
2年続いたコロナ禍の終息が近づく今、一人一人が五感をフルに解放して、変化の兆しを敏感に感じ取り、各々のチャンスを掴むことで、新しい社会に適切な行動を連鎖することができると思います。2022年がそんな年となることを祈念します。
理事 大松敦
「思想のダイバーシティ」
新型コロナウイルスのパンデミックにあって、日本ではマスクの定着とワクチンの接種が「普通に」進んでいる。他方、報道によると、海外では自由に反するとしてマスクを拒否する人達や、陰謀論を信じてワクチンを接種しない人達が少なからず存在している。日本では、同じ人間でも、徹底した行動に結び付くレベルで考え方に極めて大きな幅が存在し、かつ少数ではないことに驚きと意外性をもって受け止めた人も多いのではないだろうか。
幾つもの仮説や解釈が成立するが、前者マスクは、個の利益と公の利益が相反する場合の価値観の現れと言え、後者ワクチン接種は、インターネット・SNSの普及等を背景に、その個の利益の内容の決定要因となる思想自体に影響する「情報」の接触傾向や「エビデンス」確認の各種限界が関係していると言える。しかも、そうだと思うことと、そうかも知れないと思うことには決定的な隔たりがあるが、その境界線を容易に跨ぐ強さを伴う。
鉄道整備やまちづくりには、言うまでもなく、その息の長さから長期的視野が重要であり、また、構想・計画段階から実施段階まで直接的または間接的に多くの関係者の議論や合意を必要とする。
変異を続ける新型コロナ、地球温暖化による生態系の変化や豪雨災害の頻発・激甚化、大地震や火山噴火など、都市の将来に密接に関わる自然リスク
が高まっているが、人々の思想のダイバーシティについても、質、量、強度時として激甚化とも大きく変わっていくであろう。2022年は、こうした視点も踏まえて取り組んでいく必要がある。
理事 金山洋一
「新年のご挨拶」
(遅まきながら)明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願い致します。
今から150年前の1872年、わが国最初の鉄道が開業しました。それから100年、鉄道網は全国に広がり、1970年には全国新幹線鉄道整備法が、そして1972年には山陽新幹線が開業します。さらにそれから50年、今はリニア中央新幹線が建設中です。
こうして「大量に・早く」を追求してきた鉄道ですが、残念ながら速度でいえばWEBの世界にかなうものではありません。情報はWEBで双方向に動き、それを利用してモノと人のリアルな交通の世界が最適化を目指すといった状況が生まれつつあるように思います。
リモートワークで逆にリアルな世界の重要性が再認識されましたが、考えれば「大量に・早く」もその先の目的があっての世界であり、鉄道がもたらす「出会い」こそ我々が求めるものであったように思います。
皆様に今年もいい出会いがありますように。
理事 岸井隆幸
「独創的な発想でより豊かな未来社会を」
未来構想PFの関係の皆さま、新年あけましておめでとうございます。
新型コロナの出現は、私たちのライフスタイルを大きく変容させ、人流・交流人口の減少、東京都から地方への移転に伴う都人口の減少など、交通機関のサービスや都市の在り方を根本的に見つめ直すよう問題提起してくれました。そこで、この問題を、変化は明るい未来を掴み取るチャンスと捉え、「独創的な発想」と「変革していく実行力」で解決していくべきであると考えています。
進化論を唱えたダーウィンは、「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」という名言を残しました。また、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、「自分が出したアイデアを少なくとも一度は人に笑われなければ独創的な発想をしているとは言えない」と言っています。
本年も、未来構想PFにおける活動を通じて「旬な情報」に触れながら、特に若手技術者の皆さんが、「独創的な発想」に基づき、ウィズコロナ社会においても、交通鉄道主体×都市×DXによってより豊かな未来社会が実現できるように、「変革していくリーダー」として活躍していただくことを祈念しまして、新年の挨拶とさせていただきます。
理事 栗田敏寿
「新年のご挨拶」
皆様新年明けまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
昨年、待望の東京オリンピック・パラリンピックが開催されました。新たに追加された競技のひとつ、ボルタリングは、日本人選手の活躍だけでなく、競技の面白さに引き込まれました。ボルタリングの中で3種類ある競技の魅力は当然として、メダルを決める総合順位が各種目順位の「積」の少ない順に上位になる類を見ないルールのため、最後の選手の競技まで結果がわかりませんでした。新しいスポーツとして、選手や観客にとって本当に刺激的で、このルールが選手の能力や精神だけでなく、競技の魅力を高めていると感じました。
ところで、ここ数年或いはもっと以前から、働き方改革、コロナウィルス感染症対策、地球温暖化対策など、これまでの社会経済の基本的なルールが変わりつつあります。この変化を否定、不安視するのではなく、魅力的な社会の実現の糧になる一年としたいものです。
理事 廣瀬隆正
「新年のご挨拶」
明けましておめでとう御座います。
一昨年から続く武漢コロナ騒ぎで、「禍を福と為す」を今日ほど強く感じることは無いと思っています。コロナ前の前提が大きく崩れ、今迄には無いことが一気に進んでます。自分自身、高齢且つ基礎疾患保有者故、感染は命取りになると通勤電車を避け、八王子から新宿を特急通勤に変更しました。弊社のアプリ「えきねっと」なるものがあり、ネット予約では通常価格760円が660円、更に33円分のポイントが貰え、ポイントを同区間の購入に使用すれば、460円で乗れる。我が社ながら工夫に感心。然し、スマホ用のアプリのみ対応と判る。止む無くガラ携帯をスマホに替えました。こうなると、一気に銀行、郵便局等行くのが面倒になり、各種アプリを導入し全てスマホ上で送金や通帳確認を行うように成りました。古希に近い爺いでも、コロナのお蔭で変化を余儀なくされる、況や中年青年に於いてをや。こうして、DXが一気に進むのだろうかと感じる今日この頃です。
理事 村尾公一
「新年のご挨拶」
新年あけましておめでとうございます。2021年中は夏をピークとした感染の影響等もあり、本プラットフォームも限られた中での活動となりました。第六波への警戒もまだまだ解けない中ではありますが、年度下期からは少しづつ街の人出や交通機関の輸送量も回復してきており、力強さを感じている今日この頃です。
報道では都心のオフィス空室率や賃料も好転に転じたとの記事がありましたが、一連のコロナ禍を経て社会経済活動のどこに変化が定着し、まちや駅にそれがどう影響をもたらすのか、良く注視をしていきたいと思います。
新年を迎えて、事務局も交代してから2年目に入ります。新たな気持ちでプラットフォームの活動に取り組み、皆さまのご支援、ご期待に少しでもお応えできるよう頑張ります。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
理事・事務局長 大口豊