インフォーマルなワークショップの活用を
―プラットフォーム通信第50 号によせて―

まち

(社)未来構想PF 会長

山本 卓朗

明けましておめでとうございます。

プラットフォーム通信が第50 号を迎えました。一般社団法人「未来のまち・交通・鉄道を構想するプラットフォーム」を2010 年(平成22 年)秋に設立してから3 年目に第1 号を作成し、以来毎月のメール発信を心がけてきました。この間多くの皆様から原稿をお寄せいただき、おかげ様で貴重な資料集となっています。心から御礼申し上げます。

さて未来構想PF では、産学官の枠を越えた情報交流を指向していますが、今まではJR 東日本グループをメインとするワークショップ(WS)研修が中心でした。しかし最近は本来のねらいである大学・行政に民間企業(鉄道、建設、コンサル、不動産)を加えた将来構想WS も出来るようになっています。
また他機関との連携を含め、未来構想PF が企画実施した技術講演会も定着してきました。当プラットフォームを実施の“場”としたワークショップは、インフォーマルであることが大きな特徴と考えています。高度情報化社会というのは、なかなかやっかいなもので、情報が過度に出回り、時にはネット上で“炎上”して被害者が出ることもしばしばです。コンプライアンス重視のためにミスを犯さない行動が求められ、また行政や企業の情報管理が厳しくなるのは仕方ありませんが、フリーな立場で議論したり、懇親会をしたりするのも、何となく実施し難くなってきたと思います。しかし大げさに言えば、日本経済を活性化させるためにも、ひとり一人が積極的に将来を語り、構想を生み出していく高度成長期のような熱気が必要と思います。組織に属する個人が他の組織の人たちに声をかけて議論したいと思った時に、新たに場を作るのはたいへんやっかいです。ささやかにしても予算が必要ですし立案も欠かせません。そんな時に、実施をサポートできる未来構想PF のようなインフォーマルな”場“が役に立つのではと思うようになりました。

さてインフラの将来ビジョン、中でも都市のど真ん中で施工する交通インフラは、懐妊期間がたいへん長く、20 年や30 年かかって実現することが多くなっています。プラットフォーム通信の第1 号を発信したのは、東京オリパラ招致が決まった直後でした。現在急ピッチで行われている関連工事が終了した直後から、先延ばしされていた次のプロジェクトが動き出すでしょう。私たちの仕事はさらにその先を見据えた長期的なインフラ整備を構想することです。そしてそのために、未来構想PF のようなインフォーマルなWS が方々で活発に行われることを期待したいと思います。