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みんなの未来構想

JR東日本 顧問(未来構想PF理事)

廣瀬 隆正

 

 

先日の台風10号の輸送障害は、広範囲かつ大規模なものでした。私自身は影響を受けませんでしたが、10年ほどの前の記憶が蘇りました。当時、総武線佐倉駅から京浜東北線桜木町駅まで2時間弱の遠距離通勤をしていました。約2年の勤務の間、何度かの輸送障害を経験しました。その中で印象深いのが、東京駅の出来事です。降雨の影響で横浜駅から乗車した列車は、不規則に停車をしながら進み、東京駅でも数十分停車。車内でのアナウンスは、「暫くしたら、発車する」とのことでしたが、駅のアナウンスは、「隣のホームに来る折り返しの列車に乗るように」とのことでした。運行指令者の指示が変更になり、その情報共有に時間差が生じたためと考えました。結局、発車を待っていた多数の乗客が別のホームに大移動することとなりました。
昨年、JR東日本に勤務することとなり、業務用に携帯電話とiPadが支給されました。聞くと、社員全員に配布され、輸送障害の情報などがアプリによりリアルタイムで入手できるとのこと。乗務員や駅員の方々も持っています。これにより、10年前の東京駅のような事象は、おそらく生じないでしょう。
道路は、どうでしょうか。高速道路網整備の進捗により、選択できるルートが増えましたが、不思議なことに渋滞は解消されていません。ただ、GPSの活用によりリアルタイムの状況把握が的確になり、カーナビの進歩により最短時間ルートの選択が容易になりました(選択できるルートは一つですので、最短だったかは、検証できませんが)。さらに車載カーナビだけでなく、ナビアプリも活用できます。
公共交通の場合も、鉄道各社が情報提供するアプリだけでなく、複数のアプリができました。鉄道会社の運行情報は、自社の運行指令と連動していますが、その他は、連動しておらず、公表情報を基にしていると言われています(生成AIでの検索結果なので、誤っているかもしれません)。一般的な乗換案内アプリも鉄道やバスなどの全ての公共交通の運行指令と連携できれば、カーナビのように精度や利便性が向上すると思います。セキュリティーの確保から難しいことは理解できるのですが・・・。