概要
講演テーマ:鉄道から発展した日本の近代土木
~世界が驚いた“19世紀末の奇跡”とは何か!
講 演 者:土木学会広報センター 緒方英樹(鉄建建設広報部)
日 時:令和元年12月11日 15:30~17:00
場 所:JR東日本コンサルタンツ大崎 20階大会議室
参 加 者:約80名
内容
封建国家から近代国家への脱皮。西欧が100年かかった近代化を、日本が30年足らずで成し遂げた快挙に世界は驚き、「19世紀末の奇跡」と言われたのは何故?
1.歴史を学ぶことの意味とは?(人が集団で暮らし始めて、土木の歴史は2,000年)
2.築土構木
①土木の小中学生アンケート 全体の56%が土木を知らない、聞いたことが無い
②土木には眼に見えない役割も多い
③独特な日本の風土と土木の関係
3.古代僧侶たちの土木 利他行(自分のことより他人の幸福に尽くす)増加要因、自然
4.強い戦国武将は、優れた土木技術者だった(自然と国を治める。キーワードは水)
5.江戸から明治への幕開け
・お雇い外国人の技術と情熱、 明治5~31年官雇い総数6193人(うち土木1947人)
・西洋文明を灯したフランス人技師・ブラントン(灯台をつくる、ゼネラリスト)
・工部省が最初に取組んだのが「鉄道建設」、イギリス人技師・モレル
・幕末に英国密航の「長州ファイブ」このうち井上勝が鉄道に生涯を捧げた
大阪に「工技生養成所」 日本人による逢坂山トンネル工事
選ばれた最初のエリートが古市公威
・明治日本に「エンジニア思想」を注入した工部大教授・ヘンリーダイアー
エンジニアは社会発展の原動力であるという思想から、技術力だけでなく、
社会的な要請に応える広い分野の教養を身に着けることを奨めた
・エンジニア伝道師・広井勇の薫陶を受けた技術者たち
札幌農学校時代 岡崎文吉ほか 16人の工学士
東京帝大時代 青山士、宮本武之輔、八田與一、久保田豊、等20年間600人
恩師の道を辿りパナマ運河工事に挑んだ青山士
「民衆にとって土木とは何か」⇒土木の仕事とは、福祉である
6.台湾・烏山頭水庫のほとりに、八田與一夫妻の墓が建立されている
・10年の歳月をかけ15万haの荒れ地に16000km の給排水路建設
・飲水思源(水を飲むときは、井戸を掘ってくれた人に感謝して子々孫々に伝える)
7.土木の絵本による取組み
・土木をテーマとした映像媒体による伝達
・パッテンライ(台湾に渡った土木技師八田與一をモデルとした長編アニメ)
・土木偉人かるた
【質疑等】
○明治初期のお雇い外国人技師、若いが1人で案件を進行させ教育も。
しかし、最近は大勢の体制でも(海外案件)進まないが?
●技術の進歩に伴い、専門化(細分化)が進んだことが大きな要因。