私の経験から「土木工事の品質の確保」「海外協力は喧嘩も覚悟で」

講演会
概要

講演テーマ:私の経験から「土木工事の品質の確保」「海外協力は喧嘩も覚悟で」

講 演 者:元国鉄技師長・土木学会長・鉄建公団総裁 岡田宏

日   時:平成30年10月01日 16:30~17:30

場   所:JR東日本東京工事事務所9階大会議室

参 加 者:総勢 約70名(停友会と未来構想PFの協催)

内容

■土木工事の品質確保

(1)土木工事の施工不良に起因する事故例・・・施工不良の事例 書ききれないほどある!

①桁底板下のドライパッキン

最初から最後まで担当させられた(学士3人が担当)

レンガアーチ壊して仮設桁(終電から初電 厳しい時間帯での作業)

土木技術の発展に寄与するもの使っていい

⇒ドライパッキン 文献でアメリカの混和剤試験参考に 配合決め施工

撤去時に見えるので・・・期待は9割だったが実際は7割であった

②PCケーブルシース内のグラウト不能

グラウトが通らない・・・ シース破損(コンクリート打設時)

空隙あると一体にならない・・・ 悩んだ結果 廃棄に

その後新幹線若返り作戦、想定以上の荷重や回数で縦方向に亀裂桁多数

③東北新幹線架線柱受けの落下事故(深夜崩れ落ちた)

深刻な事故だった

土木と電気 分担

電柱間隔広げたが設計の変更せず・・・土木の責任

④山陽新幹線トンネル覆工頂部の落下

天端付近 空洞

⑤薬液注入不足

東北新幹線御徒町付近

注入量 誤魔化し 記録作った

東葉高速鉄道習志野トンネル

御徒町の事故があり調査・・・手抜きあり

⑥山梨県道路トンネル天井板落下事故

施工が難しい 背景 考慮不足

最近イタリアで桁落下

(2)土木工事の特色

①現場での一品生産

②品質管理のために多額の資金を投じ得ない

③劣悪な作業環境

④従事者の多くは経験が浅い未熟労働者

(3)対策

①施工管理に熟達したコンサルの育成・・・うまく進まない

設計に比べて金額安い、責任が不透明

②施工現場へのAIやIoTの積極的な活用

③発注者は品質確保にはコストが必要な事を認識すべき

④施工業者の技術力を客観的に評価し受注に反映させる仕組みの確立

 

*現役に特に頑張って欲しい

・多様な商品を多数が製造し市場で競争する原理が作用し得ない土建業界に

価格重視の一般競争を適用する事の不合理を主張

・声を大にして発信必要

⑤本の紹介

建設テック革命  木村駿著  日経BP社

土木生産効率化

 

■海外技術協力には喧嘩も

(1)立花先生の述懐

・昭和13年 北大土木卒 国鉄入社

・東鉄局長 国鉄管理委員

・ザヒール・マタディ橋に先鞭を付ける

(海外・・やりがいある仕事と感じた)

・世界銀行に応募 一補佐として勤務

(私も応募したが 経験不足で落ちる)

「毛唐は肉食人種、睡が枯れる程の議論の連続、目の玉に指を突っ込んで引っ張り出す」

そんな覚悟必要

・上記の述懐に関する岡田の感想

アメリカ中堅コンサルと仕事したが、優しい対応受けた

どうせ短期間なのでの対応・・・長期やトップ候補だと対応は全く違う

(2)台湾新幹線受注時の欧州連合

・欧州連合との競争勝ったと思ったが、負けた 取られた

・田中宏昌さん中心に巻き返した

・形勢不利と見た時の negative. campaign のエゲツナサ(その一例)

席幅の比較 日本の図そのまま使用して寸法少なく

最少列車間隔

平均遅延時分

(3)香港 天馬橋 Audit での経験

・騒音対策・・・ 総研の支援・・・ レール研磨 効果あり

現地で確認したところ車両の動輪が原因

・MTRCはJARTSが最初から橋梁構造に重大な異議を申し立てなかったのが不満であった

最初に提言していないではないか(車輪と言わなかった)

 

◆海外事業では、相当の覚悟を持って

◆喧嘩の英語が必要(大学では習わないが)

 

□講演終了後

意見交換会を開催。岡田さんを囲んでいろいろなやりとりが交わされた。大ベテランで多くの体験をされてきた岡田さんの話を直接聞く機会が少ないことから、参加者にとって満足度の高い講演会であった。

講演会の模様