概要
講演テーマ:明治時代における停車場の概念~新橋停車場から中央停車場へ~
講 演 者:鉄道総研 情報管理部 担当部長 小野田滋
日 時:平成30年10月01日 15:30~16:30
場 所:JR東日本東京工事事務所9階大会議室
参 加 者:約70名(停友会と未来構想PFの協催)
内容
1.建築としての鉄道駅の特徴と進化
①従来の建築 人が滞留
②鉄道建築 都市の玄関、不特定多数が利用、流動
ドイツのライプチッヒ駅、イギリスの セント・バンクラス駅
ドイツの フランクフルト駅
③明治時代の日本の駅の設計思想
まず海外の駅を再現 増改築が容易な木造で
新橋は木造に石はり、横浜駅 同様 必要最小限、旧長浜駅 現在最古 終端駅
2.木造駅舎の系譜
①木造平屋が基本(県庁所在地では木造2階も)
駅の標準設計(停車場定規)
札幌駅、沼津駅、長崎駅、新橋駅、萬瀬橋駅
停車場定規 三等、四等、五等甲乙(明治33年 標準図、39年 北海道のみ)
②有楽町駅 高架下に駅機能 その後のモデルに・・・神田駅、東海道新幹線新大阪駅
島秀雄・・東海道新幹線には駅ビルが無い
③橋上駅 御茶ノ水駅、昭和3年鴬谷駅
3.中央停車場(東京駅)の設計思想
①帝都の玄関、皇室の玄関
②特徴・・乗降の動線を完全分離、旅客機能に特化、皇室専用口
③幻の官庁集中計画 1886年
原口要 市区改正と中央停車場計画 ドイツベルリンをモデル
岡田竹五郎 高架橋の設計(高架橋設計をレンガアーチに)
フランツ・バルツアー もっと日本建築を活かすべき:案作成
(金吾いわく 西洋ものに和風を羽織った と酷評)
バルツァーの予言
広大な土地なので将来もっと良い活用方法が見つかれば、貨物駅の機能はヨーロッパの
都市のように郊外に移すことも出来、この土地は鉄道財政に大きな利益をもたらすだろう
④北口は降車 南口は乗車 中央は皇室
2代目京都駅 皇室専用口をどこに?議論に
京都停車場改良工事の意義(客貨の完全分離)
竹内季一、渡辺節(建築) 中央に皇室口設置 不合理
長谷川謹介理解示し貴賓室の位置変更
長谷川謹介の論文(トンネル)、梅小路機関車庫、綿業会館
4.技術基準類(主として「定規」)の整備
①明治26年土工定規、トンネル断面、明治33年停車場定規、以下順次
②坂岡末太郎 鉄道工学講義5巻
③竹内季一 鉄道停車場
④岡田信次 鉄道停車場
⑤駅の等級(1912(大正元)年現在)、一等駅の指定推移(一部推定)
5.今日のまとめ
①明治時代にもたらされたもの
・鉄道停車場の基本構成(駅本屋、乗降場、本線、側線、転車台)
・停車場の標準化(停車場定規、跨線定規、駅等級)
・停車場の体系化
・都市の玄関、象徴
②大正時代にもたらされたもの
・操車場(貨車操車場、客車操車場)
・荷役の機械化
・動力分散式列車(機関車??電車、気動車)
・ターミナルビル日本建築学会の対応(時系列)と提言・提案など
□講演終了後
意見交換会を開催。参加者からは、歴史を知ることは大切だと再確認した、非常に有意義な講演会だったと好評の声が多く挙がっていた。
講演会の模様